ストリックス
【STRIX】
ストリックス(梟)はスウェーデンのボフォース社とサーブ・ダイナミクス社が進撃してくる機甲部隊を撃滅するべく開発した対戦車迫撃砲弾である。
迫撃砲は構造上、射程も短く命中精度も悪い。そして何より、迫撃砲はカノン砲などの様に直接照準での射撃が出来ず、対戦車戦闘には不向きであった。だが、本ストリックスは迫撃砲弾に赤外線画像誘導装置および制御装置を組み込むことによって、直接攻撃を可能にさせ、しかも迫撃砲独特の曲射弾道により、装甲車輌の脆弱な上部装甲を狙うという物である。
ストリックスは誘導装置や制御装置を備えた弾頭部と後部の発射推進部およびブースター部から構成されている。
ストリックスの運用方法は、まず専用の端末から、誘導装置のある弾頭部にコードを刺して、前線の観測員から受けた目標データを入力する。
(PHOTO:SAAB)
あとは通常の重迫と同様に迫撃砲に入れて目標の方角に発射するだけである。
(PHOTO:SAAB)
発射され、目標上空で降下を開始したストリックスはまず、先端の赤外線画像誘導シーカーによって熱源の捜索を開始する。ストリックスの信号情報処理システムはダミーや炎上している装甲車輌を正確に除外し、目標の装甲車輌を選定することが出来る。目標を決定し最終降下体勢に入ったストリックスはブースター部を切り離し、弾体に付けられたスラスター(姿勢制御ロケット)によって調節しながら、敵装甲車輌にトップアタックを仕掛ける。ストリックスの後部弾体はHEAT(成形炸薬弾)となっており、先端の衝突時のエネルギーによって、表面装甲に強い衝撃を与えた後に炸裂する為、一定のリアクティブ・アーマー(爆発反応装甲)対策になっているとされる。さらに赤外線画像誘導方式を用いている為、昼夜問わない攻撃が可能である。さらに大きく山なりに飛翔するために発射点を特定しにく、他のATMと比べ、比較的安全性が高いといえる。
(PHOTO:SAAB)
ストリックスの射程は最大射程は7km以上で、発射の速度は通常20秒間の内に3発であるという。ただし、勿論ストリックスは発射の前にデータ入力をしなくてはならない。
ちなみにストリックスはスウェーデンとフィンランドが共同開発したAMOS迫撃砲システムでも発射が可能となっている。
ストリックスはスウェーデン陸軍に対して1994年から配備が開始された。その後、スイス陸軍でも6400万ドルの契約でストリックスの導入を決定している。同陸軍では現在運用しているM-87 120mm迫撃砲で運用する方針であるが、さらに同陸軍では保有しているピラーニャ装輪装甲車の120mm自走迫撃砲型でも運用される物と思われる。
名称 | ストリックス |
製造 | SAAB社 |
主任務 | 対戦車攻撃 |
全長 | 84cm(弾体部) 50cm(推進部) |
重量 | 18.2kg(弾体部) 5.4kg(推進部) |
射程 | 7km以上 |
誘導方式 | パッシブ式赤外線画像誘導 |