PRAM-S 120mm自走迫撃砲
【PRAM-S】

PRAM-Sはチェコスロバキア(当時)のZTS社が開発した装軌式の自走迫撃砲である。
本PRAM-Sは、1990年の分裂寸前のチェコスロバキアでZTS社の手によって開発され、1992年より、ごく少数が生産された。ちなみにチェコスロバキア分裂後、開発元のZTS社の所属はスロバキアとなっている。

元来、自走迫撃砲という物は迫撃砲を装甲車輌に乗せ、機動力と生存性を高めんとして開発された物であった。だが、殆どの自走迫撃砲は既存の一般的な前装式迫撃砲をそのまま搭載している等の理由により、オープントップ(天蓋が開閉式)になっている。だが、これでは上部からの攻撃に無防備になり、迫撃砲の操作員が砲弾の破片等の危険にさらされる。確かに、後方から火力支援する兵器であるから良いとすればそれまでだが、なにぶん射程の短い迫撃砲である為、攻撃に晒される危険性は榴弾砲などに比べて高い。

そこで開発されたのが、近年2S31ベナや本車などの迫撃砲を後装式(通常の砲と同様に、後方から装填する形式)にし、周囲を装甲板で覆い防御力を向上させた車輌である。

本車はチェコスロバキアでライセンス生産されていたBMP-1もしくはBMP-2の車体を流用した物で前部の内部配置などに限っては、BMPとほぼ同じでわずかにBMPの面影を残しているが中部の戦闘室からは一段高くなり、車体脇のドアの増設に砲塔がすげ変わっている為、原型のBMPとは外観において大きく変化している。車体長もBMPよりも延長され、車輪が一個追加されている。ちなみに本車の装甲はBMPと同じで小銃弾や弾破片を防ぐ程度の物となっている。

中央の戦闘室には砲塔を撤廃した代わりに120mm重迫撃砲が装備されている。この砲の砲旋回範囲は左右15度、最大射程は8.036kmである。最大発射速度は一分間に18発〜20発、持続射撃では5分間に40発、10分間では70発程度である。弾薬搭載数は即応用の21発を含め、80発である。

さらに本PRAM-Sは移動から120mm迫撃砲の発射までに掛かる時間は1分、さらに発射から移動に掛かる時間も1分(もちろん、観測や調節の時間は含まない)と非常に素早い展開および撤収が可能となっている。

そして、後部の上面ハッチにはNSV 12.7mm機関銃を装備した銃架が設けられている。この銃架は9K113対戦車ミサイルやRPG-75ロケットランチャーやvz.58 7.62mm軽機関銃なども装備する事が出来るとされているが、基本武装はNSV 12.7mm重機関銃であるようだ。

本車はチェコスロバキア陸軍向けに1992年に12輌生産されたが、チェコスロバキアの分裂によりチェコおよびスロバキア双方に半分の6輌づつ均等に分割されている。本車は海外向けに売り込みがされているが、現在まで発注が成されたと言う話はない。

性能諸元

名称 PRAM-S
製造 ZTS社
主任務 支援砲撃
全長 7.47m
全幅 2.94m
全高 2.25m
戦闘重量 1.697t
出力 モデルUTD-20
6気筒4ストローク・ディーゼル 300HP
最高速度 63km/h(路上)
燃料搭載量 不明
航続距離 550km
主武装 120mm迫撃砲(携帯砲弾80発)
砲旋回角 左右15度
副武装 NSV12.7mm機関銃x1
乗員 4名
実戦配備 1992年

配備国

●スロバキア

6輌

●チェコ

6輌

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