Su-30
【FLANKER F - フランカーF】
(PHOTO:SUKHOI)

Su-30フランカーF variant1(別名Su-27PUフランカー)は、Su-27UBを元にして作られた複座型長距離戦闘機である。

開発の発端は1980年代後期、旧ソ連空軍が「ロシア辺境防空及び洋上艦隊防空を目的とした長距離戦闘機/指揮所機の開発」をスホーイ設計局に命じた事から始まる。命令を受けてスホーイ設計局は、当時最新鋭であったSu-27UBを基礎に発展型の製作に取り掛った。しかし意外な事にSu-27UB試作2号機に空中給油装置を付けたT-10U-2と言う機体が既にスホーイには存在しており、始めの試験ではこのT-10U-2を使用した。
T-10U-2は順調に試験飛行を繰り返し、1987年6月6日には2回の空中給油でモスクワ〜北極点、6月23日にはモスクワ〜コムソモリスクナアムーレ間を4回の空中給油で往復すると言う大成果を挙げた(合計飛行時間15時間42分、合計飛行距離13,430km)。そしてT-10U-2のデータを元に1988〜1989年に初の原型機であるT-10PU-5がイルクーツクで完成、その後原型2番機にあたるT-10PU-6(後に名称がSu-27PUとなる)も完成した。初飛行は1989年12月31日の事である。
初飛行から3年後の1992年、Su-27PUは限定敵な対地攻撃能力を付けた後Su-30と名称を変えた(量産型Su-30の初飛行は1992年4月14日)。その後新生ロシア政府の承認を得て1996年に実戦配備され、更に一方ではテストパイロッツ/イストリビーティリの使用機体となった。テストパイロッツ/イストリビーティリの持ち主はジュピター保険会社(民間)、運用はロシア飛行試験局(LII)が行っておりロシア空軍の所属機では無い。

Su-30の性能は、基本的にSu-27UBと殆ど同じである。違いは空中給油プローブを装備している事、タンデム複座な事、TWS(複数機追尾)能力が付加された事、新型電子/航法装置が付いた事、IRSTを右側につけた事でSu-27と比べて少し戦闘能力が向上している。空中給油プローブについては2度の空中給油をすれば10時間以上は飛び続ける事が可能である。タンデム複座については前席・後席が同じ作りにされ、仕事に分担がしやすくなった(基本的に前席が機体の操縦、後席が火器管制)。TWS(複数機追尾)についてはN-001パルスドップラーレーダーが改良され、10目標同時追跡/2目標同時追尾が出来るようになっている(名称は変わっていない)。最後に、新型電子/航法装置については詳しい事は分かっていない。ちなみにSu-27UBとSu-30見分けるにはキャノピーの正面中心にIRSTがあるのかを見ればよい(中心に有ればSu-27UB)。

このようにSu-30はSu-27が少し強化しただけの戦闘機だが、その後の発展型であるSu-30K・Su-30Mシリーズは多くの進化を遂げている。この2種については、別のページで詳しく紹介したいと思う。

性能諸元

名称 Su-30(Su-27PU)
製造 スホーイ設計局
主任務 要撃戦闘機
全長 ※21.90m
全幅 ※14.7m
全高 ※6.40m
主翼面積 ※62.04u
補助翼面積 --
フラップ面積 --
垂直尾翼面積 --
水平尾翼面積 --
乾燥重量 ※16,380kg以上
最大離陸重量 ※33,000kg
最大搭載量 ※6000kg
燃料搭載量 ※9400kg
巡航速度 ※1,400km/h マッハ0.9
最高速度 ※マッハ2.0
実用上昇高度 ※18,000m
航続距離 4000km(高空)1,500km(低空)
戦闘半径 ※1220km以上(高高度) 420km以上(低高度)
エンジン Two Saturn/Lyulka AL-31Fターボファンエンジン×2
MIL74.53Kn以上 AB125.5Kn
固定武装 GSh-301×1 最大150発
初飛行 1986年6月日(T-10U-2)、1989年12月31日(T-10PU-6)、1992年4月14日(Su-30)、
乗員 2名
生産数 10機以内(推測)

※Su-27UBの数値。Su-27UBと性能は同等と思われる。

固定兵装・ガン 空対空兵装 空対地兵装 アビオニクス類
GSh-301(9A-4071K)
30mm機関砲 弾丸150発
AA-8(R-60) FAB-100通常爆弾 NIIP N-001パルスドップラーレーダー
(RLPL-27 ASCC スロットバック2)
【探知距離240km・追随距離185km】
               ※AA-9
(R-33)
FAB-250通常爆弾 OEPS-27 IRST
【探知距離50km】
               AA-10A
(R-27R)
FAB-500通常爆弾 N012後方警戒レーダー
【探知距離2.0〜3.0km】
               AA-10B
(R-27T)
BetAB-500パラシュート
&ブースター高抗力爆弾
NSTs-27(NSc-27)
ヘルメット装着目標指示装置
               AA-10C
(R-27ER)
※RBK-250対戦車集束爆弾 SRO-2オッドロッズIFFアンテナ
               AA-10D
(R-27ET)
※RBK-500対戦車集束爆弾 L-005ソルビツィS ECMポット
               AA-11
(R-73A) 
※ZAB-500ナパーム弾 APP-50
チャフ/フレアディスペンサー
               ※PB-250パラシュート高抗力爆弾 K-36DM射出座席
               KMGU-2クラスター爆弾
               S-8コンクリート貫通効果型
80mmロケット弾
               S-13F爆風破片効果型
122mmロケット弾
               S-13Tコンクリート貫通効果型
122mmロケット弾
               S-25OF爆風破片効果型
330mmロケット弾
               S-25OFM爆風破片効果型
330mmロケット弾
ステーションナンバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
AA-8(R-60)
AA-10(R-27)      
AA-11(R-73)
FAB-100   ○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
 
FAB-250   ○○
○○
○○
○○
○○
○○
FAB-500     ○○ ○○ ○○ ○○
RBK-250     ○○ ○○ ○○ ○○
RBK-500     ○○ ○○ ○○ ○○
BetAB-500     ○○ ○○ ○○ ○○  
KMGU-2            
S-8           ○○   ○○
S-13           ○○   ○○
S-25           ○○   ○○
L-005ソルビツィS ECMポット      

※正面から見た配置。ステーション6・7番は、6番が中央前部7番が中央後部とする。
※爆弾・ロケット弾については1つのステーションでも複数搭載可能。
※これらの兵器は改修型のみ運用可能。

空対空兵装@

ステーションナンバー          1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
AA-10アラモ中射程空対空ミサイル(RH系)          
AA-10アラモ中射程空対空ミサイル(IR系)        
AA-11アーチャー短射程空対空ミサイル    

空対空兵装A

ステーションナンバー          1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
AA-10アラモ中射程空対空ミサイル(RH系)      
AA-11アーチャー短射程空対空ミサイル    

空対空兵装B

ステーションナンバー          1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
AA-10アラモ中射程空対空ミサイル(RH系)          
AA-11アーチャー短射程空対空ミサイル  


派生型

●T-10U-2

(PHOTO:SUKHOI)
スホーイが独自に開発した、空中給油能力を持つ試作機。
写真ではスキージャンプ台からの離陸であるが、カナードも無くSu-33の試作機ではない。

●T-10PU-5(T-10P-5)

Su-30の原型1号機、始めはT-10P-5と呼ばれた。

●T-10PU-6(T-10P-6)

Su-30の原型2号機、始めはT-10P-6と呼ばれた。

●Su-30(Su-27PU)

(PHOTO:SUKHOI)
Su-27UBの改良型、1997年のエアタトゥーで初めて一般公開された。

●Su-30(Su-27PU)テストパイロッツ/イストリビーティリ仕様

(PHOTO:SUKHOI)
Su-30の民間型、具体的な能力の詳細は不明。

配備国

●ロシア

Su-30 10機以下

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